よくあるご質問

Q1.父が多額の借金を残して死亡しました。
どうしたらよいでしょうか。

相続人が被相続人の借金を相続することを回避する方法には、①相続放棄をする方法(民法938条)、②限定承認をする方法(民法922条)があります。
①の相続放棄をすれば、プラスの財産を含めて相続財産一切を相続できなくなるので、相続放棄をする前に、相続財産の十分な調査が必要です。これに対し、②の限定承認をすれば、相続財産の範囲内で借金を返せば足り、それを超えて借金を返す必要はありませんが、相続人全員が申立てをする必要があること等、相続放棄に比べて手続が煩雑であることが難点です。
相続の承認又は放棄は、「自己のために相続が開始したことを知った時から3ヶ月以内」にしなければなりません(「熟慮期間」といいます。延長することもできます。民法915条1項)。個々の事案における「熟慮期間」の始期の判断は難しい場合がありますので、なるべく早く、専門家にご相談されることをお勧めします。

Q2.私は、妻を亡くしてから長男夫婦と同居していました。数年前に長男が亡くなった後も、長男の嫁が私と同居してくれて、ずっと世話をしてくれています。長男の嫁に財産を残したいのですが、どうすればいいでしょうか。

既に亡くなられたご長男のお嫁さんは相続人ではないため、遺産分割手続において寄与分を主張することはできません(民法904条の2)。また、推定相続人であった長男が既に死亡している場合、長男のお嫁さんの貢献を長男(夫)の寄与分として考慮することもできません。
このような場合、あなたの財産(例えば、同居している住居)をご長男のお嫁さんに譲るという内容の遺言書を作成することをお勧めします。もっとも、遺言書によっても「遺留分」を侵害することはできませんのでご留意ください。
遺留分についてはQ8もご参照ください。
また、相続法改正により、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について当別の寄与をした相続人以外の親族には、特別寄与料の請求をすることができるようになりました(民法1050条)。    

Q3.遺言書の作成はどのようにしたらいいでしょうか。

遺言書には大きく分けて、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
自筆証書遺言では、全文、日付及び氏名を自書しなければならない等、法律で定められた要件(民法968条)を満たさなければ無効となる危険性が高いですし、紛失・改ざんのおそれもあります。相続法改正により自筆証書遺言の方式が緩和され、遺言書保管制度が創設されましたが、無効となるおそれがなくなったわけではありません。
したがって、そのようなおそれを防止するため、公正証書遺言を作成することをお勧めします。
詳しくは、「遺言書作成手続の種類」をご覧ください。

Q4.高齢の父が、将来、判断能力を失った場合に備えて、遺言書作成と一緒にしておいた方がいいことはありますか。

お父様に十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめご自身で代理人を選び、その者(任意後見人)に、ご自分の生活や財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を締結することができます。
任意後見契約は、公正証書遺言と同様に公証役場で行う必要がありますので、遺言書と同時に作成されるとよいでしょう。
なお、お父様が亡くなられた後、相続財産の管理や遺言の内容の実現等の事務が生じます。そこで、そのような事務をスムーズに進めるためには、どのような内容の遺言が適切かについて、専門家にご相談されることをお勧めします。

Q5.亡くなった父の自宅から父の自筆と思われる遺言書が見つかりました。
どうしたらよいのでしょうか。

見つかった遺言書に封がされている場合は、家庭裁判所において、相続人(又はその代理人)の立会いのもと、開封してもらう必要があります(民法1004条3項)。封印された遺言書を勝手に開封すると、5万円以下の過料を支払うように命じられることがあります。
お父様が自筆で書いた遺言については、家庭裁判所で検認という手続を経なければなりません(民法1004条1項)。この検認手続を経なければ、相続人の全員の合意のない限り、遺言書に基づいて、お父様の遺産の名義を移すことができません。
このように、自筆の遺言書が見つかった場合は、家庭裁判所の手続を経る必要がありますので、是非、当事務所にご相談ください。

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Q6.兄から提示された父の遺産は思ったより少ないものでした。
そのような場合、どうしたらよいのでしょうか。

提示された遺産の他にお父様の財産があれば、その分についても遺産分割の対象となります。他に財産があるはずであるとの心当たりがある場合は、ご自身で積極的に遺産の調査をする必要があります。考えられる調査方法としては、①お父様宛に届けられた郵便物等を調べること、②お父様が取引したと思われる金融機関に対し、残高や取引履歴の照会をすること、③お父様が所有していると思われる不動産について、名寄帳や登記簿謄本を取得することが考えられます。
このような調査をするためには、必要書類(戸籍など)を揃える必要があり、日常の仕事や家事を抱えながら手続を進めるのは思ったよりも、時間と手間がかかります。
当事務所では、お忙しい方に代わって遺産の調査をするご依頼も承っております。

Q7.当事者間で遺産相続の話し合いができないのですが、
どうしたらよいでしょうか。

当事者間で遺産相続の話し合いができない場合は、弁護士に依頼して、代理人として相手方と交渉してもらうという方法があります。この場合、法律の専門家が間に入るため、双方の納得につながり、話し合いで解決しやすいといえます。
しかし、弁護士が間に入っても、当事者の感情的対立が激しく、話し合いでの解決につながらない場合は、家庭裁判所に調停の申立てをして、中立の立場である調停委員の介入の下で話し合いをする方法があります。
調停での話し合いでも解決できない場合は、審判といって、裁判所で判断、すなわち、遺産を分けてもらうことになります。
なお、調停は、あくまでも当事者による話し合いですから、遺産相続に関係する様々な事項を広く対象とすることができますが、審判は、対象が限定されており、民事訴訟による必要がある場合があります。
遺産相続には複雑な法律問題が関係しますので、調停の申立てについては、弁護士に相談されるとよいと思います。

Q8.父の遺言書を開封したところ、すべての遺産を兄が相続することになっていました。母はすでに死亡しており、子供は兄と弟の私だけです。私は、父の遺産を相続できないのでしょうか。

兄弟姉妹及びその子以外の法定相続人は、遺留分(被相続人による自由な処分が制限されている持分のことです。民法1042条)を有しており(※)、相続分の指定については、遺留分に関する規定に違反することはできません
従って、遺留分を有している相続人は、自己の遺留分が侵害された場合は、遺留分侵害額請求ができます(民法1046条)。
※あなたの遺留分の割合は、4分の1(=2分の1(総体的遺留分)×2分の1(法定相続分))
もっとも、遺留侵害額請求権の行使期間には制限がありますので(民法1048条)、早急に請求をする必要があります。また、相続法改正により、相続人に対する特別受益を遺留分計算の基礎財産に算入すべき期間は、相続開始前10年以内に限定されました(民法1044条3項、1項)。
なお、遺留分侵害額請求をしたが、当事者間で話し合いがつかない場合は、裁判所で調停や訴訟により解決することができます。   

Q9.遺産分割をしたいと思いますが、相続人である兄が行方不明です。
兄を除いて遺産分割をしてもよいでしょうか。

行方不明になっていても、法律で認められている相続人であれば、死亡していることが確定されない限り、当然ながら財産を相続する権利をもっています。従って、行方不明であるお兄様を除いての遺産分割は出来ず、以下のように、失踪宣告の制度又は不在者財産管理人の制度により処理されることになります。

< 行方不明から7年経過している場合 >
行方不明になってから7年経過していれば、家庭裁判所に行方不明を証明する資料を提出し、「失踪宣告」の請求をすることができます(民法30条1項)。失踪宣告がなされると、失踪宣告を受けた者は、従来の住所を中心とした範囲では死亡したものとみなされるため(民法31条)、あなたは、お兄様が亡くなられたことを前提にして遺産分割をすることができます。

< 行方不明から7年経過していない場合 >
この場合には、家庭裁判所に対し、「不在者財産管理人」の選任を請求することができます(民法25条1項)。選任された財産管理人は、行方不明者の代わりに遺産分割協議に出席し、そこで分割された財産を管理することになります。

Q10.長男である私は、実家に同居して亡父を長い間介護してきました。
そのことにより、私の相続分は増えますか。

相続財産の維持や増加に貢献した相続人に対し、その貢献に相当する額の財産を得ることを認める「寄与分」という制度があります(民法904条の2)。
「寄与分」として評価されるためには、被相続人と相続人の身分関係に基づいて通常期待されるような程度を超える特別の貢献であることが必要です。親子の間には、お互いに扶養義務がありますので、あなたが、お父様と同居して、単に生活を共にしていたという事実だけでは、特別の貢献があったとは認められません。
もっとも、あなたがお父様の介護を行い、お父様の財産を維持した場合は、特別の貢献があったと認められますし、お父様の代わりに費用を立て替えたと認められる場合がありますので、支出額や支出の経緯等の具体的な記録を集め、専門家にご相談されることをお勧めします。

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